アスベスト対策は不動産投資の新たなリスクを回避する

不動産投資とアスベスト調査

投資用不動産購入前にアスベスト調査をする

アスベストは、耐磨耗性、耐熱性、耐腐食性などに優れているため、昭和５５年以前はビルや一般の建物でも建築工事現場で、断熱材等の目的でアスベスト（石綿）を吹き付けるなどの作業が盛んに行われていました。しかし、昭和５５年以降になって、法律によってこのアスベストを使った作業を行うことが禁止されました。しかし、それまでは、非常に長期にわたってアスベストが多くの建設現場で使用されてきたため、まだ、たくさんのアスベストを使った建物が残っている可能性があるのです。また、粒子が非常に細かいために、空気中に飛び散っても目には見えないことが問題です。アスベストの飛散を知らずに吸い込んだのち、それが長期ににわたり体内に溜まることによって、最終的にはそれが原因で発ガン化して、それが原因で死に至るといったことになるのです。そう言うことから、主に中古マンションや中古住宅を投資の対象とする不動産投資には、このアスベスト問題は、人命尊重と投資効率から言っても避けて通ることの出来ない大きな問題なのです。当分の間、不動産投資の条件として、このアスベスト調査を必ず行わなければならないでしょう。

不動産投資の観点からみたアスベスト調査

このアスベストの問題は、不動産投資の際に、決して避けられない重要な問題なのです。
もし、投資利回りの良い投資物件と判定されて取得した時、その投資用不動産にアスベストが見つかった場合でも、リフォーム業者に相談して、アスベストを除去してもらえば問題は解決すると思われるかもしれませんが、これは、過去に実際にあった話ですが、ある投資用不動産のリフォーム工事の途中に、小屋裏に発がん性の高いアスベストが吹き付けられていることが分り、そのリフォーム業者から「人命に関わる危険な工事なので、これ以上工事はできない」とリフォームが中断されました。その時間的損失はもちろんですが、さらに、怖いのは風評被害です。あとで、専門業者に頼んで完全にアスベスト除去に成功しても、アスベストは目に見えないだけに
その風評被害から発生する入居率の低下から来る利回りの極端な低下は免れないことになります。
万が一、投資物件にアスベストが使われていたことが判明した場合、投資物件の資産価値は必ずといっていいほど下落してしまうので、投資用不動産の購入を検討する際には、必ず、事前に購入の条件として売主側の責任で
アスベスト調査を行わせるのが望ましいと言うことです。

不動産投資の新たなリスク調査

一般的には、不動産投資のリスクには入居率低下による空室のリスクや、金利が上がるリスク、あるいは、投資用不動産の新築からの経年変化による修理費の増大などが一般的に言われていますが、昨今のアスベスト問題のように、急に我が身に降りかかってくるか分かりません。このような環境からのリスクは、これまで以上に、不動産投資に多大なな影響を与えることになります。
そして、また、昨今では、アスベスト問題だけが大きく取り上げられていますが、この環境リスクはアスベスト問題だけではないのです。つい最近までは、住宅に使用されている新建材、壁合板や内装クロスなど、室内に発生する有毒化学物質により、健康被害が発生するシックスハウス症候群や、建物の立っている敷地などに有害物質が含まれているといった土壌汚染が問題となっていました。したがって、効率的な不動産投資をされる場合には、アスベスト調査とその対策以外にも、こう言ったリスクもあるのだと言うことを、充分に考慮する必要がありそうです。

アスベスト対策の手順

アスベストの使用が疑われている可能性がある場合には、どのような手順で調査と対策を進めると良いのでしょうか？まずは、新築の年代でチェックするのが手っ取り早いと思います。
調査方法には、一般的に次の３行程があります。
まず、最初に、設計図面等を調査して→次にその分析調査→そのあと改修工事と進みます。
■設計図面等の調査
建物の設計図書の中に（アスベストとか石綿）などの語句がないかチェックします。１９８８年より前に完成しているマンションなら、吹き付け材として使用された疑いが多分にあり、天井にアスベストが含まれている可能性は相当高く、内装材、外装材の商品を確認して「アスベスト含有商品の一覧」と照合する必要があります。
■実際の現場での目視
設計図書で確認できた場所を目で見て、アスベストと思われるものがあるかどうかを確認します。
まずは、
1．機械室内の吹き付け
2．エレベーターシャフト、パイプシャフト内の吹き付け
3．マンション等の共用部分の天井や壁の建材等
普通は、外から見ただけでは分りにくい場合も多いです。もし、見つけたら次の実際の分析に進みます。
■現物の分析調査
サンプル資料を専門の化学分析機関に送り、アスベスト成分があるかどうかを成分分析してもらいます。